Wellness Club Autumn 2014 特集号
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ばこです。吸っているご本人に限らず、ご家族への影響も少なくありませんし、よく知られている肺がんとの関係以外に実に多くのがんの発生に関わっています。 がん予防の特集ではさまざまな「がんの原因」を取り上げ、少しでも原因を減らすための助けにしていただければと思います。また、一言で「〇〇がん」といってもその進み具合で治療の方法なども異なりますから、相手をよく知り、対応するために本誌の情報をご活用ください。さらに新しい最先端の治療法も開発されてきていますが、効果があると判断されているがん(種類や状態)がまだ限られていたりすることも少なくありませんし、国が定めた健康保険の対象外であったり、相当な費用がかかったりすることもありますので、7ページをお読みになり、考えてみてください。 確かに、病気の治療で一番大変なのは患者ご自身ですが、それを支える家族の方の苦労も計り知れません。また大変な病気を抱えながら家事をする、会社で働くためには、家族だけでなく職場の方々の協力も不可欠です。自分のためだけでなくさまざまな周囲の方たちとの関わりを考えながらこの特集を読んでいただければ幸いです。 最後にがんの予防では悪いものを避けるという考えも少なくありませんが、いいものを取り入れるという考えも大切でしょう。日々の生活で取り入れられるいいものは、しばしば健康雑誌をはじめ、マスコミに取り上げられることが少なくないのですが、その信憑性はどうでしょうか。たったひとつの論文だけで信じていいかどうかはわからないということは、最近のSTAP細胞の報道でもよくおわかりかと思います。まして、だれも科学的に判断していない内容を安易に取り入れるのはとても危険でしょう。 (独)がん研究センターでは 過去の多くの論文を解析したりして「科学的根拠に基づく発がん・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」を行ってきています。当初は、喫煙とさまざまながんとの関係を多くみるものでしたが、最近ではそれ以外にもいくつか参考になるものも出されています。病気では糖尿病、肥満、生活面では飲酒、身体活動、授乳、食物として大豆、肉、野菜・果実、緑茶などです。 誌面の関係でここではとりあげませんが、興味のある方は、国立がん研究センター関連のウェブサイトhttp://ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html#prg4_1やhttp://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/index.htmlを訪れてみてください。◆プロフィール森田 哲也(もりた てつや)〈資格〉医学博士/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/日本産業衛生学会指導医〈現在〉リコーグループ総括産業医/神奈川産業保健総合支援センター相談員/東京大学大学院 特別研究員/産業医科大学産業衛生教授3

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