Wellness Club Autumn 2014 特集号
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 この特集では、最近のがんに関して予防から治療にいたるまでの情報を扱っています。 がんに関しての研究は日々進歩しており、かつての"死にいたる病"から"治療しながら生活する・働き続ける病"へと変わってきた印象もあります。 最近では、がん発生の際の遺伝子関連(マイクロ RNA)の変化をもとに早期発見するための検査方法を、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構、(独)がん研究センター、とある企業が、産学連携で開発を開始することを発表しました。早期発見の目標となっているがんは◦胃がん、◦食道がん、◦肺がん、◦肝臓がん、◦胆道がん、◦膵臓がん、◦大腸がん、◦卵巣がん、◦前立腺がん、◦膀胱がん、◦乳がん、◦肉腫、◦神経膠こう腫しゅの13種類のがんです。これまで以上に容易に精度よくがんを見つけることができるようになることを期待しています。 今回の特集でも取り上げているように早期発見にはさまざまな方法がありますが、気をつけなければいけないことは、検査で異常があることと、病気であることは別物であるということです。逆に検査で異常がないことがすべて病気ではないとも限らないということです。病気ではない人も検査で「異常です」と判断してしまったり、病気の人を「異常がありません」と判断してしまったりすることもあるのが、多くの検査でおこりうることを理解しておいていただきたいと思います。 これはがんの検査に限ったことではなく、生活習慣病の検査でもおこることなのですが、それゆえ、異常を指摘されたらきちんと病気であるかどうかの判断をするためのさらなる検査を受ける必要がありますし、検査では異常がなかった方も病気にならないための適切な生活習慣を整えるようにしていただければと思います。 本来であれば、病気の成因である遺伝的な背景、生活習慣、原因物質やウィルス等の外的要因の状態に合わせたテーラーメイドの健康診断を実施していきたいところですが、こうしたさまざまな多くの情報を処理して、各個人の健康診断項目を決定できるには至っていません。 遺伝的背景は変えようがありませんが、原因物質・ウィルスといったものは暴露されているのか影響を受けたことがあるのかを判断して、避けられるものは避けるという努力ががんにならないための1つの方法となります。ピロリ菌やB型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルスといったものがこうしたものにあたり、その影響を減らすための治療ががんを防ぐことになります。もうひとつ身近な原因がたがん特集号の発刊にあたってリコーグループ総括産業医 森田 哲也2

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